結石の痛みはのたうち回るくらい痛い。そういう固定観念ってありますよね。胆石の痛みってどれくらいのものなのでしょうか。
できた胆石の大きさで痛みにも幅があるようです。胆石全てが疝痛発作を起こすとは限らないのです。
胆石の痛みは一ヵ所だけではなく、胸と背中に痛みが走ります。二ヵ所に痛みがあるのですが、自分の場合は胸から背中にかけて痛い、そんな感じでした。
辛いのは背中の痛みの方が辛かったように思いますが、いまだからこそそう思うのであって、疝痛発作のときはもうどこが痛いのかなんて言ってられない状態です。
胆石症と一括りにしていますが、胆嚢結石、胆管結石、肝内結石とに分けられます。主に胆嚢結石での話になりますが、痛みの起きる原因を説明しましょう。
胆石の痛みは、胆嚢内にできた結石が、食事をすることにより収縮して胆嚢内から胆汁を出そうとしたときに起こります。収縮すると、胆嚢内にできた結石が動きます。このときに、胆嚢の出口、胆管の入り口に結石がつっかえてしまうのです。そのときに痛みが発生します。
この激痛が「疝痛発作」と呼ばれるものです。
疝痛発作は結石が胆管などに詰まってしまうことで起きますね。ということは、胆管にはまるくらいの大きさの結石、ないしそれ以下の大きさということです。
それ以下の大きさなら詰まることはないのでは? そう思われるかもしれませんが、小さい結石の場合1個や2個ではなく、数100個クラスの大変多いのが特徴です。それが胆のうの収縮と共に、一気に胆管などに降りるので、想像を絶する疝痛発作を起こすのです。
ではどんな痛みなのでしょうか。経験者であればおわかりでしょうが、口では言い表せない痛みです。背中と胸に激痛が走り、脂汗を流し、言葉を発する事も出来ません。じっとしていられず、楽な姿勢を探すのですが、どんな体勢を取っても楽になるものなどありません。「転げ回る」まさにこれです。自分は転げ回りました。
同じ胆石でも疝痛発作のでないものがあります。全く痛みのでない無症状胆石と、鈍痛や違和感だけのものです。胆石の痛みは結石の大きさに左右されます。
結石の大きさは様々で、胆嚢内いっぱいに結石ができている場合、胆嚢が収縮しても結石が動くことがないため、胆管にはまってしまうこともありません。そのため、痛みを感じないで胆石だとは気づかない人もいるくらいです。なんだか背中や胸に違和感がある。
そう思って病院を受診したところ、胆石だったというパターンです。この場合は疝痛発作がない代わりに、開腹手術で胆嚢を摘出しなければいけません。
不幸なことに、自分は疝痛発作経験者です。数年前から背中と胸に違和感を覚えていましたが、疝痛発作はある日の夜中にいきなり自分を襲いました。
背中と胸に激痛が走りっぱなしで呼吸もできません。横になっていて痛いのですから上半身を起こしてみます。それでも楽にはならず、脂汗が出てきて文字通り、部屋中を転げ回りました。お恥ずかしい話ですが、子供のとき以来数十年ぶりに痛みで泣きました。
泣くつもりはないのですが、勝手に涙が溢れてくるのです。楽になれるのであれば逝ってしまいたい! そう思うほどでした。自分に何が起こっているのかもわかりません。胆石などとは夢にも思っていませんでしたから。夜中に病院に運ばれました。
言葉を発する事も出来ない自分に、医師達は狭心症か心臓発作を疑ったようです。循環器科に回されましたが、レントゲンを撮っても何もわかりません。痛み止めの処置だけで帰されたのですが、2週間後、またしてもあの痛みが……。前回同様転げ回って苦しみ、やはり夜中に病院へ。
自分がどうなってしまったのか、これからどうなるのか不安でいっぱいでした。前回、循環器科で原因が分からなかったことを告げると、その日の当直医師はエコーをかけてくれました。「胆石だね~痛かったでしょう?」……原因が分かりました。
胆嚢結石だったのです。ああ……手術か……原因が分かって安心したのも一瞬で、今度は手術への不安とそれまでの間、疝痛発作が出たらどうしようと不安の毎日でした。手術までの間は座薬タイプの痛み止めをもらっていたので、違和感を覚えたらすぐに使用するようにして乗り切ったのです。
出産の痛みも経験していますが、出産の痛みどころじゃなかったです。終わりの見えない痛みなのですから恐怖でしかありませんでした。